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映画『恋文』と高校三年生の秋

1985年、体育祭も終わり、受検モードに突入しなければならない時に、人生を揺るがす事件が発生した。
当時、ある同級生に秘かに思いを寄せていた。タカシ君やカズタカ君に言わせるとバレバレだったらしい。
その娘に気持ちを伝えることはなかったが、同じクラスで親しく話す間柄ではあった。
受験に関しても、「同じ大学に行きたいね」とその娘から言ってくれた。(と自分では記憶している。)
学校外で開催された大手予備校等の模擬試験も一緒に受けたりした。
ちなみに、その娘に思いを伝えたのは、それから2年後になる。
志望校選定のため、その娘の志望校の資料を集めていた。この時、事件はおこった。
ある晩親父から、「悪いが、我が家の経済力では、私立大学は無理だ。あきらめろ。」と言われた。
バイトで稼ぐといっても、全く聞き入れてもらえなかった。親父と本気で言い争った人生で唯一の時だった。
ショックだった。
失意のまま、何もすることが無い日曜日、まちをブラブラとしていて、題名とポスターだけで選んだのが、『恋文』だった。
ショーケン(萩原健一)も一頃の勢いは無く、原作の連城三紀彦も知らず、神代辰巳監督が佐賀県出身と言うことも知らなかった。製作の奥山和由さんすら知らなかった。
主人公(萩原健一)が、昔の恋人(高橋恵子)の最期を看取るため、妻(倍賞美津子)と息子を捨てて家を出て行くシーンの映像が忘れられない。
妻と息子が寝ているうちに、美術教師の主人公が妻のマニキュアなどでアパートのガラス窓に桜の花びらを書いている。
朝、妻が起きると「タバコを買ってくる」と言って家を出たっきり戻らなくなるのだ。
朝日が昇り、窓に描かれた桜の花びらが本物の花のように色づいてきた。
邦画、洋画を問わず、最も好きな映画の一つである。
昨年、シエマで神代辰巳監督特集が実施されており、観にいったが、残念ながら『恋文』はタイミングが合わず、観ることができなかった。
是非、銀幕でもう一度みたい。
http://ciema.info/index.php?itemid=1098
Posted by 勝手にシエマ応援隊.
2010年03月09日12:58
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