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「瞳の奥の秘密」― 人には変われないものがある ―

新年あけましておめでとうございます。今年もモリモリ映画を観ようと思います。
2009年にアルゼンチンで公開された本作。アカデミー外国語映画賞も受賞。
刑事裁判所を定年退職したベンハミン(リカルド・ダリン)は、
忘れることのできないある事件を題材に小説を書き始める。
かつての職場を訪ね、当時の上司で今は検事に昇格している女性イレーネ
(ソレダ・ビジャミル)とも再会を果たす。
2人が関わったのは、25年前の1974年、結婚も名もない女性が殺害された
凄惨な事件だった。
やがて捜査は暗礁に乗り上げ1年が経った。
ある日、ベンハミンは駅で犯人を捜し続ける銀行員の夫リカルドを目にする。
妻を奪われた夫の深い愛情に突き動かされたベンハミンは、
イレーネとともに捜査を再開。ついに犯人逮捕へ。
が、そこには隠された真実が。
小説を書くことで過去に向き合うベンハミンは、葬られた事件の真相へと迫ります。
死刑制度のないこの国で、暴行殺人は終身刑。
のはずが、1974年のアルゼンチンは、かなり政治が腐敗しており、司法が正義ではありません。
なんと「ゲリラ活動の情報提供に貢献した」という理由で、殺人犯のゴメスは釈放されて
大統領のSPになってしまいます。
ベンハミンとイレーネは、なすすべがなく時が流れていきます。
この映画、タイトルがちゃんと内容を表しています。
イレーネが「コイツが犯人だ」と確信するのは、ゴメスの視線。
ベンハミンが捜査に意欲を取り戻すのは、妻への愛を湛えたリカルドの目。
何よりもベンハミンとイレーネが愛し合っているということ自体が全編通じて目で表現されています。
文字通り誇張なしの衝撃のラスト。
腰を抜かしたままエンドロールが流れだします。誰も立ち上がることのできない館内。
静かでたおやかなテーマ音楽が、ゆったりと包んでくれて、ようやく現実に戻ることができました。
主人公の同僚パブロが言います。「人には変われないものがある」。
ベンハミンの気持ちも、「瞳」も「変われないもの」の一つなのでしょう。
でも、私たちはそれに気づくのが遅すぎたり、向き合わなかったりすることが多々あります。
過去に向き合うことが全て正しいとは言いませんが、ベンハミンはそれを実践したのでした。
スゴイ映画でした。新年早々あたりの一本。監督フアン・ホセ・カンパネラ。
シエマで1月8日(金)まで!あ、明日やん!
http://ciema.info/index.php?itemid=1647
Posted by ぽてち.
2011年01月06日20:40
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