佐賀シネマクラシックスが開幕しました!まずは、「羅生門」。

平安時代、悪名の高い盗賊がたまたま前を通った夫婦の奥方に邪な気持ちを抱いたことから起きた殺人をめぐって、六波羅で犯人と奥方、殺された夫の霊(霊媒師)がそれぞれ証言するのですが、それが一人ひとり違っています。
その様子を見ていた遺体の発見者とお坊さんが、羅生門で「あんなおそろしいものを見たことはない」と、雨宿りに立ち寄った男から催促されて、六波羅での証言を話し始めます。
なにがそんなにおそろしいのかと思うと、殺され方が恐ろしいとか、霊媒師が恐ろしいとかいう訳ではなく、三人三様に、自分の立場や見得を大事にして勝手なことを言っていること、人間の身勝手さが恐ろしいということのようでした。そんなに恐ろしくもなかったのですが。60年前は純粋だったのでしょうか?
3人の証言のどれが本当なのか?最後に、遺体を発見した男が実は一部始終を見ていたらしく、その男が見たことをしゃべります。これは真実だろうと思ったのですが、それも自信はありません。
そんな風に人間の嘘ばかりが語られる中、羅生門には捨て子が。その捨て子に着せられていた服を剥ぎ取ってしまう雨宿りの男。それを責める二人。男から、きれいごとを言うな、というようなことを言われる中、発見者の男が「自分には子供が6人いる。7人でも同じだ」と言って赤ちゃんを引き取っていくところで終わりました。
人間に対する絶望と希望・・・
ところで、1950年の映画でした。60年も前ですね。観終わって、たまたま一緒に観た友人に対して出たことばは「50年で映画の技術とかすごく進歩したんですね」でした。
(シエマHP)
芥川龍之介の小説「藪の中」を黒澤明監督が映画化。第12回ヴェネチア映画祭のグランプリ、第24回アカデミー賞の名誉賞(外国語映画賞)を受賞し、黒澤監督の名を世界に知らしめた作品。
平安時代、都に近い山中で起きたある殺人事件をめぐって、目撃者たちの証言が真っ向から対立、それぞれの視点から描かれる事件の真相をスリリングに描く。撮影の宮川一夫による美しいモノクロームとカメラワーク、脚本の橋本忍によるきめ細かいストーリーテリング、三船敏郎の鬼気迫る演技・・・など、その後も数々の傑作を生む、映画人達の技が光る傑作。
Posted by シロクロアリス.
2013年03月25日17:23
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