「スープ・オペラ」― このスープさえあれば生きていける ―

「スープ・オペラ」― このスープさえあれば生きていける ―

阿川佐和子さんの同名小説を映画化。
大学の図書館で働くルイ(坂井真紀)は、叔母のトバちゃん(加賀まり子)と
古い一軒家に暮らしています。

冒頭、風がそよぐ縁側で、庭を眺めてルイがつぶやきます。
   「何もない、心配事も問題も無い、奇跡の 一日だわ~」
ルイが、この家とトバちゃんとの暮らしと自分の生活を愛している様子がよく伝わる一言。
そう、ルイの人生には特に何も変わったことはないのです。でも、それが至福。

トバちゃんから教えてもらった鶏がらスープ。
   「このスープさえあれば、生きていけるの!元気になれるの!」
と呪文のように唱えていたトバちゃん。「わたし、お嫁に行きます!」と、
若いお医者さんと結婚して無医村へ。
あれよあれよという間に一人になったルイですが、庭に迷い込んできた自称画家の
風変りな男性・トニーさん(藤竜也)と、出版社でバイトする、笑顔がトレードマークの青年・康介
(西島隆弘)が、ひょんなことから居候し始めます。
不思議な距離感の3人の共同生活。
その食事の席には、必ずおいしいスープが添えられます。
3人が和むシーン、励ましあうシーン、どれもスープが起点です。

二人の男性と出会うことで、ルイの人生に彩りと変化が出てきます。
でも、ルイは次第に違和感を覚えます。特に康介との関係で。
愛着のある扉のギシギシが、いつの間にか直っていたり、下の名前で呼ばれたり…。
トニーさんとの関係では、もっと驚きの事実が判明します。

大学の図書館の給料が月13万円でも、つましく勤勉に生きてきたルイ。
穏やかな日々に訪れた自分の人生を見直す機会。
『満ち足りた人生』って何なのか考えさせられます。
ちょっとファンタジックな展開ですが、個人的には好きでした。
やっぱり、食事の場面がおいしそうな映画ってステキ(そこかよ!)。

坂井真紀さんが、自然体のルイを気持ちよく演じています。何気ないワンピースがよく似合います。
康介役の西島隆弘さん、上手ですね。「愛のむきだし」で俳優デビューしたそうですが、
歌って踊る人というよりすっかり俳優さんです。
エロ作家役で出てくる平泉成さんもかなり面白いです。

シエマのカフェでスープ・オペラセット」(鶏ガラスープ・ハムカツベーグルサンド・ドリンク)
をいただきました。800円。
ハムカツのチーズ、タルタルソースも余すところなく食べました。ごちそうさまでした。

「スープ・オペラ」は、シエマで、12月10日(金)まで。
http://ciema.info/index.php?itemid=1602



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