「ザ・ロード」― 世界の終りに何を見たか ―

世界の終りは終わりなので、何もないでしょ!とのツッコミを受けそうですが、
何か残るとしたらなんだろう?と考えさせてくれる映画です。
「ザ・ロード」の原作は、アカデミー作品賞を受賞した「ノーカントリー」を
書いたコーマック・マッカーシー。この作品でピュリッツァー賞を受賞。
文明が崩壊し荒廃した終末期。
草も木も生物もありとあらゆる生命が死に絶え、生きる気力と戦う力が
ある者だけが残る極限のサバイバル状態。
アメリカ大陸をひたすら南を目指して旅を続ける一組の父子。
飢えや寒さだけでなく、人肉をも口にする暴徒の襲撃をかいくぐります。
主演の父役は、ヴィゴ・モーテンセン。
「イースタン・プロミス」「ロード・オブ・ザ・リング」の主演も務めました。
今回の役もこの2作と並んで、爪に垢がたっぷりたまってます!
この人、小ぎれいな役が嫌いなのでしょうか??
途中に差し挟まれる若き日の夫婦(妻はシャーリーズ・セロン)の姿が、
一瞬誰だかわからないほど、痩せこけ、風体が変わっていきます。
そんな過酷な状況でも最愛の息子を守り通そうと頑張る父。
道中で出会うおじいさんを見た息子は、「なんで助けてあげないの?」と父に迫ります。
「食べるものがなくなったら、お前にもわかるさ…」と、
生きるために何を選ばないといけないかを息子に教える父。
苦渋の選択をしながらも、人間らしさを失うまいと振る舞い続けます。
「ボローニャの夕暮れ」とはまた違う、息子に注ぐ無限の愛。
自分が死んだら、息子はひとりで生きていかねばなりません。
たどり着けるか、暖かい南の海まで。
たどり着いても、何が待っているのだろうか…。
クレジットを観て気が付きましたが、父にも子にも役名がありません。
「Father」「Son」となっているだけ。
緊張感ありすぎるロード・ムービーなので、気が休まりません。
ラストショットでドバーッと気が緩み、放心状態でシエマを後にしました。
シエマで、11月26日(金)まで。
http://ciema.info/index.php?itemid=1602
Posted by ぽてち.
2010年11月18日18:03
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