「セラフィーヌの庭」― 無垢な魂が投影された絵 ―

この週末、大好きなシャガールを福岡市美術館で観てきました。
芸術の秋にふさわしく、シエマでも画家の映画を上映中。
19世紀から20世紀にかけてフランスに実在した女性画家
セラフィーヌ・ルイの生涯を描いた映画です。
1912年、パリ郊外の町で掃除婦として働くセラフィーヌ。
貧しく孤独なセラフィーヌは、草木との会話や絵を描くことを
心のよりどころに暮らしています。
掃除の合間にも、絵の具の材料を集めます。
夜は木の板に手で描いていきます。
木の実や草をつぶして出てくる色合いは、彼女独特のもの。
ある日、セラフィーヌはドイツ人画商のウーデと出会います。
彼女の力強い色合いと自然への愛にあふれた絵を観て感動するウーデ。
セラフィーヌも、彼の援助を受けて個展を開くことを夢見るようになります。
絵を描くのは神からのお告げだから。
ノッってくると賛美歌を歌いながら筆(手)を進めるセラフィーヌ。
創作する(できる)人ってこんな感じなんでしょうか。
ウーデはピカソをいち早く見出した画商。
彼のおメガネにかない、俄然やる気を出して創作を続けるセラフィーヌ。
でも、第一次世界大戦が勃発し、ウーデは敵国の人間となってしまいます。
この辺りからセラフィーヌの人生にもうねりが出てきます…。
この映画、セリフは多くありません。
映像とセラフィーヌの絵が、グイグイ引っ張っていってくれます。
風がそよぎ、木の葉が揺れる。ふつうの自然の風景が実に美しく感じられます。
自然を愛し、自分の魂をキャンバスにぶつけるセラフィーヌ。
神からのお告げを信じて描き続ける彼女は、芸術家然としています。
その分、繊細すぎたのでしょう。
晩年の生活は哀しい。でも彼女は自然を愛し続けます。
セラフィーヌの絵、ちゃんと観てみたいなぁ。
シエマで11月19日(金)まで上映。
http://ciema.info/index.php?itemid=1661
Posted by ぽてち.
2010年11月17日18:25
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